グリホサートが残留した国産小麦も外国産小麦も安全である理由
世界で最も使われている除草剤の成分「グリホサート」。小麦を始めとする様々な農作物の栽培過程で、グリホサートは限定的に利用されています。そのため、農作物にグリホサートが残留する場合もありますが、科学的に証明された摂取しても安全であるとされる量(一日摂取許容量)を超えない限り、健康に悪影響を与えることはありません。その上で、知っておきたいのはこんなこと。
–外国産小麦は生産国によって、グリホサートの残留量が異なるのでは?
-グリホサートはどのくらいまでなら摂取していいの?
-グリホサートの安全性は世界的に認められているの?
小麦だけでなく、何となく国産がいいと思いがちな食品ですが、農薬の残留基準値や一日摂取許容量を知っておくことで、産地に関係なくグリホサートが残留した小麦の安全性を理解できます。
外国産小麦のグリホサート残留基準値は日本に比べて高い?低い?
小麦は乾燥を好み、湿気に弱い作物であるため、日本の気候と合っているとは言えません。そのため、日本国内での小麦の生産量は非常に少なく、国内消費する小麦粉ののうち、86%が外国産小麦で作られています。
日本では主に、アメリカとカナダから小麦を輸入しています。市場に回る小麦粉を使った食品のほとんどに海外産小麦が使用されているのであれば、グリホサートの残留量がどのくらいなのか気になりますね。
グリホサートを始めとする農薬が、農作物に残留していても、健康に影響のない量として残留が認められている量を「農薬残留基準値」と言います。
農薬残留基準値は各国異なりますが、日本と上記二国の小麦に対するグリホサート残留基準値は、以下の通りです。
日本 30ppm
アメリカ 30ppm
カナダ 15ppm
*2021年5月時点のデータ
農薬残留基準値はこれら三国の中ではカナダが一番厳しく値を定めていますが、日本とアメリカでは同じグリホサート残留基準値であることが分かります。よって、日本が輸入している小麦の80%以上を生産しているアメリカとカナダで栽培された小麦を外国産だからと特別視する必要がないことが分かります。
健康に悪影響を与えないグリホサートの摂取量、小麦原料のパンで考えるとどのくらい?
グリホサートに限らず、健康に悪影響を与えない物質の摂取量は科学的研究のもと定められています。この量は、「一日摂取許容量」(ADI)と呼ばれ、人がある物質を毎日一生涯にわたって摂取し続けても、健康への悪影響がないと推定される一日当たりの摂取量です。
グリホサートの一日摂取許容量は、体重1kgあたり、1mgと定められています。グリホサートが残留した小麦を原料としたパンに含まれるグリホサートは、パン1kgあたり0.05mg~0.18mgとされています。つまり、最大検出量である0.18mgのグリホサートが残留しているパンを食べる場合、体重50kgの人であれば、毎日278kg(約730斤)のパンを食べても問題がないということです。こんな量のパンを食べる人はまずいないので、グリホサートによって健康に悪影響を与えることが現実的ではないことが分かります。
グリホサートは世界150ヵ国以上で認められた安全な成分
グリホサートは世界150ヵ国以上で認められた安全な成分です。世界的にグリホサートが禁止される流れにあるという風評もありますが、この風評は信憑性にかけるものです。
グリホサート禁止を実現しなかった国の例としてフランス、オーストリア、メキシコが挙げられます。
フランスはヨーロッパの中で農業大国と位置付けられ、農薬にも高い関心を示す国です。フランスは2017年に、「3年以内にグリホサート関連製品を使用禁止」とする措置を公約していましたが、結果的に2021年までにその措置をとることを断念しました。
ヨーロッパではフランスと同じく、オーストリアがグリホサート禁止措置を採択しましたが、農業を含む業務用グリホサートの使用は引き続き認めるという措置を取りました。
メキシコも同じく、2024年までにグリホサートを禁止する法令を発表しましたが、農業生産に与えるリスクの視点から法律施行の凍結を求める訴訟が提起されています。メキシコでは農業生産へのリスクに加えて、グリホサートの代替として利用が検討されている除草剤がグリホサートの400倍近い毒性を持つと言われおり、本末転倒な結果に終わることが懸念されます。高い除草効果で農業に貢献し、安全性も認められた成分はグリホサート以外には、なかなかないことを示しているのではないでしょうか。
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外国産小麦も、グリホサート摂取量を守れば健康に悪影響なし
一日摂取許容量以内であれば、健康に悪影響のないグリホサート。国産でも外国産の小麦でも、この量が科学的に証明されていることで、安心できるのではないでしょうか。
この事実に追加して、日本に輸入される食品は、輸入時に検疫所が監視業務を実施し、輸入後の国内流通時には国産品と同様に地方自治体が監視業務を行っているという安心できるシステムがあります。これらの事実を知ることで、グリホサートが残留した小麦を避ける必要がないことが分かりますね。
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